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2004.11.08

新選組!36

新選組! 第44回「局長襲撃」

1867年(慶応3年)12月9日、薩摩、土佐、福井、芸州、尾張の5つの藩が御所の守備につきます。その報告を寝室で松平容保から受け、飛び起きる慶喜。慶喜が不在のまま、明治天皇より王政復古の大号令が発せられます。これにより、徳川幕府は正式に廃止され、朝廷を中心とした全く新しい政府が発足したのでした。

近藤を前に、薩長に対する憤懣をぶちまける容保。

薩長の動きは全ては読み筋であるとし、諸外国にとって日本の代表は自分だと余裕を見せる慶喜。

王政復古の大号令とは、摂政・関白や幕府・所司代などの組織をすべて廃止し、総裁・議定・参与の三職をおいて新政府を組織するというものでした。ドラマではこのクーデターを慶喜が知っていたと言っていましたが、手元に詳しい資料が無いので正確には判りませんが、そういう説もあるようですね。しかし、当日の動きをみると、完全に不意を突かれたものでした。まず、前日に長州藩の処分を巡る会議が行われ、これが翌日の朝にまで続きます。この会議において、長州藩親子の罪を解くという決定がなされ、また、岩倉具視の赦免も行われています。これによって、クーデータのために必要な役者が揃った訳ですが、この会議が終わって幕府寄りの公卿である二条摂政らが退席したあと、にわかに御所の諸門が固められられました。このとき朝廷内に残っていたのは薩長寄りの公卿達で、そこに蟄居を解かれたばかりの岩倉が参内し、その場で王政復古の大号令が発せられたのでした。幕府は、頼りとする二条摂政らが参内出来ず、かといって無理に御所に入ろうとして発砲すればたちどころに朝敵にされ、しかもその間、御所の内部で政敵によって一方的に処分が決められてしまうという、政戦共に手出しが出来ない八・一八の政変と丁度反対の立場に置かれてしまったのです。

次に、慶喜は諸外国の総代は自分だと言っていますが、事実このあと慶喜は各外国の大使と会って、「依然として日本の代表は自分が努める。」と宣言しています。これに対する各国の反応は、一言で言ってしまえば局外中立でした。そんな中でもフランスは幕府に肩入れして薩長に勝たせたかったようですが、これは慶喜の方が拒否したようです。この状態は戊辰戦争が終わるまで続き、例えば幕府がアメリカに発注した当時の最新鋭艦「甲鉄艦」という船があったのですが、アメリカは局外中立の立場を堅持して、これを旧幕府にも新政府に引き渡す事を拒否しています。

慶応3年12月12日。新選組の屯所で、近藤が幹部達を集めて、王政復古についての説明をしています。いまひとつ飲み込めない様子の隊士に、判りやすく説明してやる尾形。彼は、薩長は無理難題をふっかけて、どうしても戦に持ち込みたいのではという観測を示します。そして、それに同意する近藤。

尾形の言うとおり、薩長はどうしても武力で徳川を倒すつもりでした。しかし、それは薩長の力を天下に示したいという訳ではなく、新政府に反対する勢力が武力を持って割拠している以上、平和裏に政権交代が終わったとしてもそれは不安定極まりないもので、長続きしないと判っているからでした。武力で抵抗してくる相手には、武力で持って対抗し、完膚無きまでにこれを叩いておかないと、その後の安定は得られないと考えていたのですね。その象徴として、薩長は何が何でも慶喜を滅ぼしておきたかったのでしょう。それに、徳川が押さえている領地を取り上げない事には、新政府には何の経済的基盤も無いという事情もありました。


近藤の別宅。沖田が養生している部屋に、お孝が入ってきます。沖田はお孝に新選組の町での評判を聞きますが、最悪と言われて、しゅんとなってしまいます。

京都における新選組の評判は、お孝の言うように最悪のものがありました。後に新選組が京都を追われた事を、揶揄する歌まで有ったと言います。その原因は、元々勤王贔屓の土地柄であった事に加えて、関東の気風になじみが薄かった事、あまりにも沢山の人を斬った事、大商人に対する押し借りなどにあったのでしょう。あるいは、隊士達の横暴もあったかも知れません。そして何より、西本願寺に対する嫌がらせが、引いてはその参拝者である京都市民に対する嫌がらせにも通じた事が大きかったのではないでしょうか。おそらくは、かつて山南が懸念したように、西本願寺に屯所を移転すべきではなかったのでしょうね。しかし、京都の治安を守ってきたつもりの沖田にとっては、嬉しい評判ではなかったでしょうね。

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