« 新選組!27の3 | トップページ | 新選組!28の2 »

2004.09.14

新選組!28

新選組! 第36回「対決見廻組!」

冒頭、とある旅館の一室、捨助の他、3名の長州藩士が会合を開いています。「我らが為すべき事は、幕府に対するそれぞれの藩の動きを確かめる事だ。俺は、明日、芸州藩を訪ねる。お前は肥後藩を当たってくれ。お前は津和野だ。」リーダー格の志士がそれぞれに指示を与えていますが、捨助には何の指示も出されません。捨助は、たまりかねたように「俺も何かやらせて呉れよ。」と話に割り込みます。「お前は良いんだよ、もう。」桂の居所を知っているという事が捨助の唯一の値打ちだったのですが、それが無くなった今、ただの役たたずの厄介者として相手にされていないようですね。「つれない事言うなよ。」「お前を守って仙波は死んだんだぞ。」これまで捨助を守るために命を落としてきた仲間が居るという事も、捨助の立場を悪くしているようです。「それが役目だったんだ。しょうがねえだろ!」と以前のように高飛車に出ますが、かえって志士達の激高を買ってしまいます。思わずひるんだ捨助は、「何でも力になるからさ、仕事呉れよ。」と哀願調になって頼み込みます。その時、廊下を渡ってくる人の気配がします。志士の一人が障子を開けて廊下を見ると、沖田総司が率いる新選組の一隊が向こうからやって来る姿がありました。「新選組、御用改めである。」という沖田の声に、驚いて逃げ出す志士達。「引っ捕らえろ。」と下知を下す沖田。2人の志士はさっさと窓から飛び降りますが、捨助とリーダー格の志士は、同じ窓から出ようとしてもみ合い、捨助だけが脱出に成功して、志士の方は捕まってしまいます。
逃げる捨助と、追う新選組。捨助は、途中で手ぬぐいで覆面をし、京の町を走り続けます。その姿を見て「天狗だ!」と叫ぶ沖田。逃げる捨助の前に、別の一団が現れます。「見廻組である。」佐々木只三郎が率いる見廻組でした。後ろから追いついてきた新選組との挟み撃ちにあった捨助は、横町へと逃げ込みます。それを新選組を押しのけて追う見廻組隊士達と、それをいまいましそうにやり過ごす新選組。

捨助の駆け込んだ場所は、行き止まりの袋小路でした。「貴様か。昨今長州の浪士どもに与している、噂の天狗とは。」とドスの効いた声で捨助を問いつめる佐々木。泣きそうな顔でかぶりを振り、必死で否定する捨助。佐々木は、そんな捨助に頓着無く、「おとなしく。お縄を頂戴しろ。」と迫ります。進退窮まったような捨助ですが、そこへ新選組が駆けつけてきます。「お待ち下さい!」「これはれこれは、沖田君。」「その男は、我ら新選組が。」「捕らえたのは、見廻組だ。」「そんなのおかしいでしょ。追ってきたのは新選組なんですから。」「あなた達が取り逃がしたのを、我らがここまで追いつめた。」「我らは、ここ3日、ずっと追っていたのです。」「最後だけ出て来て、卑怯じゃないですか。」彼等が押し問答をしている間に、捨助は屋根によじ登って、逃げ掛けています。それに気が付く、佐々木と沖田。捨助は、からかうように、手を挙げて「あばよ。」という仕草をしています。それを見て、沖田は刀を抜いて捨助の方に駆けつけるなり、飛び上がって屋根の上の捨助に斬りつけます。その刀は捨助こそ傷つけませんでしたが、覆面を切っていました。その下から出て来た捨助の顔を見て、「見た事ある。」と驚いた様子の沖田。「近藤には、言わんでくれ。頼む!」と必死に叫ぶ捨助。「捨助さん!」と驚愕する沖田。「土方にも言うなよ!」と言うなり、屋根を越えて逃げていきます。「捨助さん...。」と呆然と見送る沖田。「裏へ回れ。」と下知を下す佐々木。

全くの余談ですが、今日9月14日は、捨助役の中村獅童の誕生日なのですね。ついでに言えば、上戸彩、高橋愛、安達裕実、中村映里子などの華やかなアイドルや、矢沢永吉といった渋いところも今日が誕生日です。こうしてみると、結構この日に芸能人の誕生日が固まっているものですね。

閑話休題。1865年(元治2年3月26日)。新選組屯所で、近藤、土方と話をしている沖田。「捨助が!」と驚いたのは近藤。「驚きましたよ。」と言ったのは、沖田。捨助の頼みにも係わらず、ちゃんと報告してしまうのですね。「なんで、あいつが長州のやつらと一緒に居るんだ。」と意外そうな土方。「あいつはもうとっくに多摩へ帰ったのかと思っていた。」と近藤。「近藤先生達には、どうしても負けたく無かったのではないでしょうか。」と湯飲みを片づけながら言ったのは井上です。彼には、捨助の気持ちがある程度わかっているようですね。「だからって、なんでまた長州なんかに。あいつ、尊王でも攘夷でもないだろ。」と理解に苦しんでいる土方。「捨助は捨助で、不思議な人生を歩んでいるんだな。」と妙な感慨に耽る近藤。確かに、多摩の当時の捨助からすれば想像も付かない人生ですよね。

「ねえねえ、源さん、いい加減にお茶入れ止めればどうですか。」と話題を変える沖田。「もう、多摩の頃とは違うんだよ。歴とした新選組組長なんだからな。」と井上に向かって言う土方。「性分なんですね。」と人が良さそうに笑いながら言う井上。その背後で、一人の男が所在なげに座っています。「しかし、源さん、あなたがそれをやると、八木さんが我らの身の回りの世話をと寄越して下さった、この人のやる事が無くなってしまう。」と近藤に言われて、にっこっと笑う男。「なあ、房吉さん。」房吉は、笑顔で頷きます。井上は、面白くなさそうに黙っていますが、「源さん。」と土方に言われて、やむなく茶器のセットを房吉に渡します。そこへやって来た尾形が、「失礼いたします、見廻組の佐々木様がお見えになっています。」と近藤に告げます。「佐々木さんが?」と意外そうな近藤。

お多福に来ている永倉とおその。原田も一緒に居ます。「屯所が近いので、良く隊士達と食べに来る。疲れた時は、甘いものが良いらしい。知ってましたか。」と永倉に聞かれて、ぎこちなく首を振り「知りませんでした。」とどこかよそよそしく答えるおその。その様子にやや気勢をそがれた様子の永倉ですが、その場を取りなすように「しかし、大の大人が、雁首揃えてお汁粉食べている光景も、考えてみるとおかしなものだなぁ。あははは。」と言ってみますが、おそのは相変わらず硬い表情で、何も答えません。話が続かない永倉は、困ったように黙ってお汁粉を食べています。「えらい、おとなしい娘やなぁ。」と隣の原田に向かって言うおまさ。「前のこれが死んじまってさあ、まだその傷が癒えてねえらしいんだよ。」と説明する原田。以下、原田とおまさの会話。「可愛そう。」「新八さんがな、あの娘をこっちに呼ぼうとした時に、あの娘が言ったらしいぜ。お気持ちは有り難いのですが、私は前の恋人の思いを捨て去る事が出来ません。そしたら、新八はさ、それでも良いから来て欲しいって。」「格好ええわぁ。」「やるだろ、あのおっさんも。」「けど、なんでそこまで惚れ込んでしもたん?」「ここだけの話だぜ。新八はよ、ああ見えても相当な奥手なんだよ。そのさんに、胸の中で泣かれて、それで胸に火が付いちゃったんじゃねえかな。」「けど、素敵やわ。」「お似合いだよね。」と言いながら、おまさの肩に手を回す原田ですが、おまさはそれに気付かず立ち上がり、原田の手は空振りに終わります。「うちも、はよ、ええ人見つけんと。」と店の奥に去っていくおまさ。「つらいっ。」とおどけて誤魔化す原田。

新選組屯所。佐々木と近藤、伊東、土方が相対しています。「引っ越しの方は、落ち着かれましたか。」とまずはあいさつをする佐々木。「いえ、まだごたごたしておりまして、こんな所で申し訳ありません。」という近藤ですが、確かに入り口近くの狭い感じのする部屋です。「それにしても、新選組も随分と大所帯になられましたな。」「おかげさまで。」「今隊士は何名ですか。」と土方に向かって聞く佐々木。「400です。」とサバを読んで答える土方。えっという感じで土方を横目で見る近藤。「素晴らしい。我らとそう変わらんではないか。」と佐々木に言われて、答えに困っている近藤。「近藤先生。」と声を掛けたのは伊東です。それを聞いて近藤は、「新選組に新しく参謀として加わった伊東甲子太郎です。」と伊東を佐々木に紹介します。「伊東と申します。江戸では、北辰一刀流の道場を開いていました。」「京都見廻組の組頭勤方、佐々木只三郎です。」「佐々木様と言えば、私の記憶違いで無ければ、あの清河八郎を討ち取られた方ではありませんか。」と情報通なところを見せる伊東。「私は、噂話は好きではありません。」と誤魔化す佐々木。佐々木にすれば、清河はだまし討ちのようにして暗殺した訳ですから、名誉な事ではないのですね。伊東もそれを知っていて、佐々木を試すためにわざといったものでしょうか。「申し訳ないが、本題に入ってよろしいか。」「失礼いたしました。」とあっさり引き下がる伊東。それを見て、なにやら嬉しそうな土方。伊東が相手にされなかったのが面白かったのでしょうか。「このところ、見廻組と新選組が路上でかちあい、そのために敵を取り逃がすという不始末が、度々起きている。」「はい、それについては、私も聞いております。本来ならば力を合わせねばならないにも係わらず、実に由々しき問題です。」と答える近藤。佐々木は、「そこで、これはまだ草案なのですが、今後、見廻組と新選組の巡邏の受け持ちをはっきりさせたいと考え、作ってみました。」と地図を差し出します。「拝見。」と言って、地図の周りにやってくる土方と伊東。「おおざっぱに申し上げると、新選組は、この屯所のある京の南、つまり、地図で言うと五条通りより下を、見廻組は北、つまり五条通より上を受け持つ事にさせて頂きたい。」と説明をする佐々木。「しかし、それでは、見廻組の方が、持ち場が大きくなりすぎませんか。」とやや気色ばんで言い返す近藤。「なんだか、公平じゃねえな。」「我らは400名近い隊士を抱えております。そちらは、私が調べたところ、せいぜい130名。」そう言って土方を見やる佐々木。しっかり、土方のはったりはばれていましたね。「新選組は、元はと言えば、江戸のあぶれ浪士の集まりに過ぎぬ。それに対して見廻組は、幕府から直々に京をお守りするよう命ぜられた直参の集まりです。本来ならば、北も南も我らが受け持っても良いくらいだ。そこを、お忘れ無きよう。」嫌味にあふれた佐々木の言葉に、むっとした様子の土方と伊東。「まあ、あくまでも草案という事ですので、ゆっくり吟味して下さい。では、失礼。」そう言って、佐々木は帰っていきます。頭を下げて佐々木を送りながら、むっとしている様子の近藤。

見廻組は、新選組にやや遅れて1863年(文久3年)の4月に江戸で結成され、5月に京都へ入っています。その定員は400名とされていましたが、当初は人数が集まらず、新選組を吸収して一つにまとめようという案も出ていました。これは、守護職側から断りを入れたため実現していませんが、その後もなかなか定員どおりの隊士は集まらなかったようです。この頃には三百数十名と、かなり定員に近い人数になっていたようですが、別にこの翌年で150人程度と、新選組と大して変わらない人数だったとする説もあるようです。

「やっぱり、やつは気に食わねえ。」と土方。「この草案は、飲む訳には行きません。局長が指摘されたように、見廻組の方がはるかに多い上に、御所や、二条城と言った要の場所全てが見廻組の区域になっています。」と近藤を立てながら、自説を展開する伊東。「冗談じゃねえ。後から来たやつに、良いようにされてたまるか。」と息巻く土方。「局長、ゆめゆめ、受け入れてはなりませんぞ。」と近藤に進言する伊東の言葉に、近藤は判ったという具合に頷きます。

この巡邏の受け持ちの区域ですが、ドラマに出て来た地図にもあったように、決して新選組と見廻組だけで分担していたわけではありませんでした。これには何度か変遷があるのですが、手元にある慶応2年7月の分担を見ると、二条城の周りが御定番組、御所の周辺は、京都所司代の受け持ちになっています。そして、御所の東から鴨東一帯にかけては京都守護職が受け持ち、見廻組は蛸薬師通から五条の間、東は寺町までの間と、西陣周辺を担当しています。肝心の新選組はというと、西本願寺周辺と、鴨川の東側の四条から南の祇園を含む一帯でした。意外なほど新選組の受け持ち区域は狭いのですが、一つには隊士の数と、やはり寄せ集め集団という事で、幕府側にしてみれば御所の周辺など大事な部分は任せられないという意識があったのでしょうね。しかし、西本願寺も祇園も勤王の志士の巣窟と言うべき地域であり、一番面倒ではあるが、やり応えがあるところを任されたとも言えそうです。そして、この受け持ち区域の分担は、当然ながら幕府が定めてそれぞれの機関に通達したもので、決して見廻組と新選組で話し合って決めたというものではありません。

以下、明日に続きます。


|

« 新選組!27の3 | トップページ | 新選組!28の2 »

新選組」カテゴリの記事

コメント

なおくん、こんにちわ!
新撰組、見ておられるのですね。
歴史に疎い私は、大河ドラマで初めて歴史を知る!
なんてこともしばしばです。
旦那さんが歴史が好きで、解説してもらわないと
分からない事も(^^;;
萩出身なので長州藩と聞くとうんうん(^-^)と、
見ますが・・・。

投稿: うさうさ | 2004.09.15 11:24

うさうささん、コメントありがとうございます。
私、萩には20年近く前になりますが、行った事があります。とっても静かで良い町でした。私は新選組のみならず、幕末史全般に興味がありますので、またいつか山口を訪れてみたいものだと思っています。

投稿: なおくん | 2004.09.16 00:48

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新選組!28:

« 新選組!27の3 | トップページ | 新選組!28の2 »