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2004.08.31

新選組!26

新選組! 第34回「寺田屋大騒動」

冒頭、剣道場での稽古シーン。剣先が細かく揺れる北辰一刀流独特の構えです。面を脱いだのは、山南敬助でした。江戸・千葉道場の一室で、師匠?と対座する山南。「私は、この道場を離れようと思うのです。先日、ある道場を訪ねました。門人も少なく、普請も粗末なものでしたが、人々は気概に溢れていた。そこには、私の忘れかけていた何かがあった。ようやく、自分の居場所を見つけたような気がしました。」もう聞けないと思っていた、山南独特の語り口です。彼はやっぱり自分の居場所を探していたのですね。その彼が、最後にはもうここには居場所がなくなったと言って自ら命を絶ったのでした。こうして振り返ると彼の寂しさが伝わって来るようで、なんだか悲しくなりますね。「流派を、変えようというのかね。」「一から出直しです。急ぎますので、これで失礼を。」「どこへ行く。」「間もなく、祝言があります。」「祝言?」「これからお世話になるであろう、お方の。後免。」

「山南さんは、その明くる日、正式に千葉道場をお辞めになったそうです。」と藤堂。ここに出て来た山南は、藤堂の回想でした。藤堂は、「山南敬助 霊位」と書かれた位牌に向かっています。位牌に供えられた菜の花が悲しいですね。藤堂の後ろには、土方と井上が座って神妙な様子で話を聞いています。「たまたま、隊士募集で千葉道場に伺ったとき、話が山南さんの事になり、そこの塾頭が教えてくれました。まさか、こんな事になっているとは。」と藤堂は位牌を見つめながら涙ぐんでいます。

「周囲の者は、山南さんが女を連れて逃げた事に一番驚いています。しかし、私には、山南さんの気持ちが痛いほどよく判るのです。」と近藤。近藤の側には深雪太夫が居ました。「あの人は、最後の最後に、真の安らぎを見つけたような気がする。」確かに、明里が居なければ、山南は救いのない結末を迎えていたかも知れません。明里と一緒のときの山南は、本当にいい顔をしていました。「うちもそない思います。」と深雪太夫。さすがに太夫だけあって、明里とは違う豪奢な装いですね。横を向いて咳き込む太夫。「すんません。」「あまり、具合は良くないのですか。」「心配ないです。」「あの、良かったら京へ来ませんか。少し、疲れが溜まっているのでしょう。ゆっくり養生して、身体を治した方が良い。」深雪太夫については、大阪新町に居た太夫で、京屋忠兵衛の仲介により近藤に身請けされ、その後間もなく病死したというのが定説になっています。その一方で、新選組始末記には、異説として後年深雪太夫自身が語ったとされる話が紹介されています。それによると深雪太夫は島原の木津屋の太夫で、近藤と馴染みになった後、近藤の都合により一度大阪新町へやられ、その後身請けされたとあります。そして深雪太夫は病気で死ぬのではなく、リューマチを患って医者の家で養生している内に妹のお孝に近藤の手が付き、これきっかけに身を引いて近藤から200両の金を受け取って島原のお茶屋を買い取ったとあります。その後変遷を重ねますが明治の終わり頃まで長寿しており、明治41年71歳のときに鹿島淑男という近藤勇の研究家と会ってこの話をしたとされています。「ええなあ、近藤先生のおそばで、毎日、近藤先生とだけ会うてたいなぁ。」「それでも私は構いません。」「無理言わんといて下さい。勤めも休まんと、大阪を離れる訳にはいかへん。先生が身請けしてくれはると言うんなら、話は別ですけど。」と近藤を試すように見る太夫。「いや、私は、その事を言っているのです。」と詰まりなから言う近藤。意外そうに近藤を見つめる太夫。「あなたさえ良ければ。」という近藤の言葉に、太夫は笑顔で応えます。

伏見寺田屋で、沖田から山南の遺した手紙を受け取る坂本龍馬。「亡くなる前に、山南さんから渡されました。」と沖田。「なんて書いてあるん?」と手紙をのぞき込むおりょう。「す?何す?」「託す、じゃき。」「何を託されたん?」と無邪気に聞くおりょう。龍馬は山南の言葉を思い出します。「私は近頃思うのです。つまるところ、この国を動かすのは考え方や主張ではなく、人と人の繋がりなのではないでしょうか。」

夜、山南の手紙を前に、酒を飲みながら考えに耽る龍馬。「託す」とだけ書かれた手紙を眺める龍馬に、再び山南の言葉が聞こえてきます。「だからこそ、藩に属さず、一つの考え方にこだわらない、あなたのような存在が日本にはなくてはならないのです。」起きあがって、蝋燭の炎を見つめる龍馬。どうやら、山南の手紙が彼をやる気を復活させたようです。

1865年(元治2年)3月5日 京。「西本願寺への移転に関しましては、本日、土方副長と伊東参謀が先方と会い、引っ越しの期日など細かいところを詰める事になっています。」居並ぶ幹部達の前で議事を進めているのは、尾形俊太郎です。「おい、ちょっと早くねえか。」と言ったのは原田。「山南総長が西本願寺への移転に不同意だったという事は、誰もが知っている事。それが、総長が亡くなってまだ間もないというのに、すぐに実行に移すというのは、いかがなものだろうか。」と人情論を説いたのは永倉です。「移転は、総長が腹を切る前から決まっていた事だ。」と土方。「ここは、山南さんの思い出も沢山残っているし、私は早く越したいな。」と別の人情論を出したのは沖田です。「という事で、伊東先生、後ほどよろしくお願いします。」と一方的に議事を切り上げる土方。「承知しました。」と今日は言葉数が少ない伊東。「次によろしいですか。近藤局長は、本日、伏見の寺田屋に視察に行かれます。依然として長州の浪士を匿っているという噂があり、局長が直々に女将のお登勢を取り調べます。」「よろしくお願いします。」と土方。「わざわざ局長が行かれる事もないでしょう。私が、行って参りましょう。」と出しゃばったのは武田。彼の言う事ももっともで、旅館の女将への訊問にわざわざ局長が出て行くなど普通はあり得ない事です。それを遮るように「ここは局長にお願いしよう。」と強い調子で言う土方。「いや、しかし。」とあくまで自説を主張しようとする武田。ところが、「いや、私が行く。」と局長自らが決定してしまいます。「この話はこれまで。」とまたしても議事を打ち切る土方。憮然とする武田とそれを見て背後で愉快そうに笑う原田。意味ありげに武田や原田、永倉達を見る沖田。

会議を終え、別室に集まった近藤、土方、沖田、井上。「怪しまれなかったかな。」と言ったのは近藤。「本当は、寺田屋で深雪太夫と会うと判ったら、永倉さん達怒ると思いますよ。」と沖田。「隊士の間では、すでに深雪太夫の身請けの話は、噂で広まっております。」と井上。「早いところ行っちまえよ。一軍の将たるもの、側室の一人や二人居たって、どうって事ねえだろ。」と土方。実際に近藤と関係のあった女性は深雪太夫一人に留まらず、その妹御幸太夫をはじめ、駒野、植野、金太夫、祇園山絹の女など数多く居た事が知られています。このうち子供を産また女も居ました。「そういう間柄ではない。」と近藤。「でも、私はどうかと思うな。近藤先生に側室は似合わないよ。だって、江戸にはつねさんという、可愛いご新造さんが居るじゃないですか。」と沖田。若い彼には、側室を持つという事が不純に思えるのでしょうね。井上も、同意するかのように微笑しています。「それは、ガキの言う言葉だ。」と土方。彼もまた、数々の浮き名を流した事で知られており、それをぬけぬけと故郷への手紙に書いていますから、相当遊んだ事が伺えます。土方の言葉にむっとした沖田は「わるいけど、江戸に手紙を書きますから。」「総司。」「つねさんに、みんな伝えますから。」あくまで潔癖な沖田。何か言いたそうで言えない近藤。「そろそろ、寺田屋へ向かった方が良いのでは。」ととりなす井上。

おたふくに来ている原田と永倉。入り口にはいつぞや原田が贈った暖簾が掛かっています。「おかわりおまっとうさん。」と原田にぜんざいのお代わりを持ってきたおまさ。嬉しそうに食べ出す原田。「局長、深雪太夫を身請けするらしいぜ。」と原田。「らしいな。」と永倉も知っていた様子です。「それって、妾って事どすか。」とおまさ。「驚きだろ。」と原田。「その件に関しては、俺は何とも言えん。」と意外な反応を示す永倉。「なんで?」「局長の気持ちは判る。山南さんが、あれだけ安らかに死を迎えられたのは、明里という女と出会えたからだ。そうは思わんか。」と原田に向かって問いかけます。「まあな。」と同意する原田。「そういう訳で、実は俺も、大阪で知り合った芸者を、こっちに呼ぶ事にした。」と永倉。「ええっ、どういう事だよ。」と驚く原田とおまさ。「名は小常という。」「それって、ひょっとして。」「元々は、俺の古い知り合いの女だった。俺は、江戸を立つ時、女にやってくれとかんざしを渡された。先月江戸へ戻ったとき、宇八郎を訪ねたが、長屋は既に空き家になっていた。」と話す永倉。あれ、前回小常と会ったとき、宇八郎は死んだというような言い回しをしてませんでしたか。あれは、単なる推測だったのか。それに、長屋から居なくなっただけで、本当に死んだとは限らないようですね。「亡くならはったんどすか。」そうだと言うように、うなずく永倉。「可愛そうな話やわ。」とおまさ。「それでお前はその女を手込めにしたんだな。」と無遠慮に話す原田。「そういう言い方をするな。俺は宇八郎の替わりに、小常を幸せにしようと思っただけだ。そして、俺たちは、いつしか男と女になっていた。」「格好ええわ。」「お前、いつの間にそんな事になっていたんだよ。」「それで、夫婦にならはるんどすか。」と交互に言う原田とおえまさ。この二人も、なかなかに似合っています。「先の話は判らんが、とりあえずこっちへ呼んだ。」と永倉。「何だよ、何だよ、みんなやる事やってんだよな。」とあてられて楽しそうな原田とおまさ。原田は、不意におまさのほうにを向き、真面目な顔で「そろそろ俺たちも夫婦にならないか。」と迫ります。「あほな事言わんといて。」「幸せにするからさ。」という原田の頭を、持っていたお盆で叩くおまさ。「俺も似合っていると思うぞ。」と永倉。凄い形相で永倉を睨み、お盆を振り上げるおまさ。「すまん。」とすぐに謝って前言を撤回する永倉。

壬生の屯所。沖田と藤堂が話しています。「どういう事。」「会わせたい人が居るんです。」「誰?」「来れば判ります。」「誰だよ。」「良いから早く。」と藤堂は、屯所の一室の前まで沖田を連れて行きます。「平助です、沖田さんを連れてきました。」と声を掛けて障子を開ける藤堂。中を見て、驚いて口を開ける沖田。そこにいたのは、近藤の妻のつねと総司の姉のみつでした。沖田を見て嬉しそうな藤堂。彼が江戸から連れてきたのですね。どうだ驚いたでしょうと言わんばかりです。「総司!」と明るく声を掛けるみつ。「姉上!」と思わず叫ぶ沖田。「つねさんも!」とまたも叫びます。にっこり笑うつね。「びっくりしてる。」「びっくりしてる。」とうれしそうなつねとみつ。「あー。」と藤堂を見やる沖田。

寺田屋で、お登勢と対面する近藤。背後には井上が控えています。「本日は、ようこそ、お越し下さいました。」とあいさつをするお登勢。「色々と便宜を図って貰って、済みませんでした。」と近藤。「正直、新選組は好きになれしまへん。けどなぁ、京屋忠兵衛はんから聞きましたわ。ここは、病勝ちな太夫を助けたいという、あんさんの心に打たれたと思て欲しい。」京屋忠兵衛というのは、大阪八軒屋にあった、新選組御用達の船宿の主人の事です。このため新選組とは浅からぬ縁がありました。「ゆうときますけど、新選組は大嫌いや。手貸すのは今度だけ。」泣く子も黙ると言われた近藤に対して堂々たるものです。「なんやら、舟が遅れているらしいんで、着いたらお知らせします。」「かたじけない。」と嫌味を言われたにもかかわらず、律儀に礼を言う井上。黙って頭を下げる近藤。

「えっ、近藤が。」と叫んだのは、寺田屋の別室に龍馬といっしょに居た捨助です。「大阪から来た女はんを、お迎えすると言うといやした。ご到着次第、じきに引き上げるという事でした。」とお登勢。「わざわざすまんかったにゃ。」と考え深げに言う龍馬。「なんの、なんの。」と出て行くお登勢。「時間がない。おまんに頼みたい事がある。」と捨助にいう龍馬。「桂さんに会わせてくれ。」「そりゃ、無理だ。」と断る捨助。「至急、桂さんと話したい事があるがじゃ。」と龍馬。「でも、先生がなんて言うか。」「手紙を書いたき、これを渡してくれ。日本国の行く末が左右される大事な話じゃき。」と手紙を捨助に渡そうとします。捨助は、一旦受け取ろうとしますが、すぐに思いついたように手を引きます。「じゃあ、こっちの頼みも聞いてくれるか。」と交換条件を出します。「わしが出来る事やったら。」「おりょうさんをくれ!」ととんでもない事を言い出す捨助。日本の将来を左右するという手紙に対して、随分と軽い交換条件です。しかし、龍馬にとっては重い事でした。しばし、呆然とする龍馬。「惚れちまったんだよ。俺、あの子と夫婦になりてぇんだ。」と捨助。「おりょうは、何て言う?」「まだ聞いてない。」「あいつがええがやったら、わしは別に構わんぜよ。」と言ってしまった龍馬。おりょうの事を信用しているのでしょうか。それとも、まだ自分の気持ちに気付いていないのか。「約束してくれるか。俺のもんになっても、文句の言いっこは、なしだぜ。」「判ったき。」「よっしゃー。」嬉しそうに立ち上がる捨助。これでよかったのかなと言いたげな龍馬。

以下は明日アップします。

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