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2004.08.03

新選組!22の2

新選組!第30回「永倉新八、反乱」その2

建白書を書くのに筆が立つ男として、葛山武八郎を推薦する山南。この葛山という人は、元京都の寺の虚無僧だったという説があるのですが、三谷演出はそこを上手く使って、彼が建白書提出の仲間に入った辻褄を合わせているのですね。でも、この事が山南にとって打撃になりそうな予感が...。

勇坊になにやら人形らしきものを作ってやっている斉藤一。やはり、彼は一匹狼なのですね。山南の助言に従って仲間を集めようとしている永倉が、斉藤に声を掛けます。ところが、斉藤は近藤達に永倉の企みを漏らしてしまいます。「誰の入智恵だ。」「大体は察しが付く。」「山南総長だ。間違いない。」あっさりと、山南の動きはばれてしまいました。苦しげな近藤。「斉藤、お前に頼みがある。」と土方。うなずく斉藤。

永倉に同調する隊士達。意外に少なく6人だけです。「隊士達の内で同意してくれたのは、こいつだけでした。」と島田。「私は同意した訳ではないのですが、無理矢理...。」と尾関。「おい!つき合えよ。」と迫力を出す島田。彼に凄まれては、大抵の人はすくんじゃいますね。「斉藤君が来て呉れるとは思わなかった。」と永倉。「俺を江戸から逃がして呉れたのは芹沢さんだ。芹沢さんを斬ったやつを許す訳にはいかない。」と斉藤。気まずそうな原田。うーむ、斉藤はスパイになったのか。後に高台寺党に入り込むための伏線なのですね。義理堅かったはずの彼がなぜ永倉を裏切ったのかちょっと理解に苦しむのですが、恐らくは佐伯が芹沢に斬られた時のセリフ、「取り入る相手を間違えるとああなる。」という彼なりの処世術の現れなのでしょうか。実際の斉藤は、戊辰戦争の際に、没落していく会津藩に恩を感じて最後まで戦い抜き、その後も配流地と言って良い斗南にまで付き合うという義理堅さを発揮しています。こういう小ずるい動きをする人では無かったように思えるのですが...。

「近藤さんは、会津藩に認められ、いささか調子に乗ってしまった。新選組を都合の良いように動かし、意見の異なる者を次々除いていく。そのやり方に私は不満を持った。」と演説する永倉。でも、このドラマだと、都合の良いように動かそうとしているのは土方なんだけどなぁ。近藤がそんなに調子にのっているようには見えないのですが。「この度の事は、近藤さんに目を覚まして貰う事が目的だ。」「目が覚めなかった時は。」「隊を離れ、江戸に帰る。」と永倉。新撰組顛末記にある記述ではもっと激しく、5箇条の一つにでも近藤が申し開きが出来るのなら自分達が切腹する、さもなくば近藤を切腹させよと迫っています。さすがに、この演出ではそこまで過激なセリフには出来なかったのでしょうね。「その前に、俺も芹沢殺しに絡んでいるんだよね。」と原田。「お前もか。」と驚く永倉。実際には、永倉は最後まで誰が芹沢を殺したのか正確には聞かされなかった様です。後から段々と判ってきたのでしょうけれど、「お前もか。」と叫びたくなる時もあったかも知れませんね。「まさちゃんを助けに行っちゃいけないというのが、いまいち良く判らないんだ。」と原田。非常の際に、公務とプライベートのどちらを優先すべきかは難しい課題ですね。新選組を軍隊として捉えるなら原田の行為は許されませんが、同志としての集まりとして捉えるなら原田の行為も許されてしかるべきとなるのでしょうか。「出来ました。」と葛山。「あなたが加勢してくれて助かりました。」「もう帰っても良いですか?」「これからこの6人で会津候に届けに行く。」「私も?」と意外そうな葛山。「はい。」と有無を言わせぬ永倉。葛山、かわいそう...。

「詰まるところ集まったのは誰だ。」と土方。「永倉、原田、島田、尾関。」「尾関?せっかく旗持ちにしてやったのに。」と土方。「無理に連れ込まれた様だった。」と公正な所を見せる斉藤。「それから、葛山武八郎。」「武八郎?どんな男だっけ?」「監察の目立たぬ男だ。」どこまでもドンドコドンの平畠さんをギャグにして行くのですね。でも、監察は副長に直属じゃなかったっけ。土方が知らないはずは無いと思うのですが。「これも、本人が望んだ事ではない。」とあくまで公正な斉藤。やっぱり、根は悪い人間ではないという事なのでしょうか。「ここは切腹ですな。」と谷。「後に続く者がないように、見せしめにしなくては。」と武田。武田は以前に書いたように、この事件の際には永倉の前に飛び出して両刀を投げ出し、「どうぞ、拙者の首を打たれい。」と命がけで諫めたとあります。永倉は意地悪く、これは自分達に斬られないために先手を打った芝居だとしていますが、永倉からすれば近藤は同志ですが、後から入った武田にしてみれば近藤は主君の様なもので、家臣のように振る舞う武田の態度が近藤を増長させているのだと、永倉には腹立たしかったのでしょうね。「新選組を思っての事だ。大目に見てやろう。」と近藤。「俺は忘れねぇよ。」と土方。両者の性格の違いが出ている様ですが、実際に後々まで根に持ったのは近藤の方の様ですね。「座をはずして貰えますか。」と近藤。「外せ。」と谷に向かって居丈高に言う武田。やはり、ただの助勤と軍師とでは格に違いがあるのかな。「あなたも。副長と話がしたい。」と近藤。意外そうな武田。試衛館の仲間の事となると、部外者扱いなのですね。「少し急ぎすぎたかもしれんな。歳。」「聞きたかねぇな。」「俺も今から行ってくる。」「勝ちゃん。」二人きりになると昔の関係に戻る近藤と土方。こういう演出の呼吸が上手いですね。「俺にまかせろ。」と近藤。局長らしい貫禄が備わって来ました。

前川邸の蔵にやって来た土方。恐ろしげな攻め道具が並んでいます。床に落ちている五寸釘と百目蝋燭。それを見つめ、恐ろしい様なおびえた様な複雑な表情の土方。古高の拷問を思い出しているのでしょうね。彼がここに来たのは、後戻り出来ない所まで来た新選組のために、鬼の副長に徹しようとぐらつく決意を固めんとしているのでしょうか。

蔵から出て来た土方と遭遇する山南。双方もの言いたげに見つめ合いますが、山南がうなずいたきり無言のまますれ違います。山南の後ろ姿に意味ありげな視線を投げかける土方。今回のドラマでは、最も重要な場面だったかも知れませんね。

会津候の前にひれ伏す6人の隊士。「建白書は読んだ。俄には信じられん話だが。」と会津候。「近藤局長は、我らの意見も聞かず、隊士達を分け隔てする始末。私達は、命に代えて新選組を正したいのです。」と永倉。「あえて聞くが、そちたちは、近藤勇がもはや信じられんのか。」「信じたいのです。しかし、今はかつての様に腹を割って話す事さえ出来ません。」「永倉、そち達と同じ覚悟でこの場に来ているものが居る。腹を割って話してみろ。」と会津候。襖の陰から出てくる近藤。あぜんとする永倉達。末席まで進んで両手をつき、永倉達に向かって「この度の件、誠に申し訳なかった。この通りです。」と頭を下げる近藤。「己の気付かぬところで、慢心した末のあらぬ疑いを招く様な言行、心から恥ずかしく思います。」と潔い立派な態度ですが、このドラマではそこまで言う程の事は何もしていないと思うのですが。どうにも不自然さが目に付きます。「頭を上げて下さい、局長。」と永倉。おーい、もう許すのかい。「お気持ちは良く判りました。一時の気の高ぶりから無礼の数々、お許し下さい。」やっぱり永倉は良い男ですね。でも、5箇条の申し開きはどうなったんだ。恩賞金の配分はもう良いのか、山南をないがしろにした事は忘れたのですか。「俺はこのとおりの男です。これからも至らぬ所があると思うが、遠慮なく戒めて欲しい。」と見事な男ぶりを見せる近藤。改めて心服した様子の永倉達。「土方を判ってやって欲しい。あいつの胸中には新選組の事しか無いのだ。決して、己の欲のためではない。」と土方を庇って見せる近藤。なかなかの局長ぶりです。「これにて一件落着。」と遠山の金さんになった会津候。

「新撰組顛末記」では、会津候から新選組が解散したとあってはそれを預かる自分の手落ちとなると言われ、永倉達は会津候の迷惑になってはいけないと考えを改めたとあります。そして、会津候は近藤を呼んで、7人に酒を振る舞い、その場を納めました。これによって、永倉達は元の通り隊務に励む様になったとありますが、実際には永倉は謹慎させられ、葛山は一人責任を問われる事になってしまいます。この事件は、後にまで残る深刻な亀裂を新選組に生じさせたと言えそうです。

この項は、永倉新八「新撰組顛末記」、文藝別冊「新選組人物誌」、子母澤寛「新撰組始末記」、木村幸比古「日本を今一度せんたくいたし申候」、司馬遼太郎「龍馬がいく」を参照しています。

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