京都の散歩道 志乃を送った道
「恋する京都」第一回放送分の視聴率が出ました。関東6.6%、関西9.4%。こんなものなのか、物足りないか。次回はどうなるのでしょうね。
さて、今日紹介するのは、圭吾が志乃を抱き上げて、八坂神社から八坂の塔の下の家まで送ったときに歩いた(はずの)下河原通です。
下河原通は、八坂神社の石鳥居から八坂庚申堂へ至る道で、1km弱の長さがあります。つまり、圭吾は志乃を抱えたまま1kmの道のりを歩いた訳で、さぞ腕が棒のようになった事でしょう..。志乃を抱き上げた後、家の場所を聞いたとき圭吾が一瞬ためらったのは無理もない話なのでした。
志乃の草履の鼻緒が切れたのが八坂神社の南楼門の前。その楼門をくぐったところにある料亭が二軒茶屋「中村楼」です。戦国期にはすでにあったという老舗で、当初参道を挟んで東西二軒の茶店があった事から二軒茶屋と名付けられました。現在残っているのは東側の茶店で、江戸期に田楽豆腐で有名になり、その後の基礎を作っています。今では高級料亭として知られていますが、茶店風のお休み処でソフトクリームを売っていたりするから面白い。
また、先日、京都最初のホテルとして也阿弥を紹介しましたが、実は中村楼はそれよりも早く明治元年にペンキ塗り2階立ての新館を建て、8室の洋間を備えた外国人専門の宿を開業しています。そして、この中村屋の向かいに明治10年に自由亭というホテルが進出してきます。今では想像も付かない事ですが、八坂神社のすぐ南隣に2軒の洋館建てのホテルが並んでいた時代があったのでした。これらのホテルは、時代に受け入れられることなく早期に廃業したため、規模、施設、実績で勝る也阿弥が京都最初のホテルとされているようです。
石鳥居をくぐると、下河原通が始まります。下河原通は、観光コースからは外れているのですが、どこか雅やかな風情の漂う界隈です。このあたりは、明治の初め頃まで西隣の清井町とともに祇園と並ぶ花街だったところで、今でも紅柄格子の家の造りにその名残が残っています。この花街の芸者は「山猫芸者」と呼ばれ、芸達者が揃い、祇園からも一目置かれる存在でした。山猫というのは、「獰猛な」という意味ではなく、山のねきから来ています。「ねき」とは京都弁で近くという意味で、やまねき芸者、山沿いの街に居る芸者という事から来ているのですね。明治以後、祇園が興隆するとともに、花街としての繁栄は失われ、旦那衆が身請けした芸妓を住まわせたりする町になったようです。
通りの半ばあたりにある舞風館は、舞妓体験のできるホテルです。昼間観光地を歩いている舞妓姿の女性は、大抵がこの種のサービスの利用者で、歩く姿勢を見ていれば大体素人だと判りますが、街が華やかになるのでそれも悪くないんじゃないでしょうか。女性にとってもうれしいサービスなのでしょうね。散策プラン12500円。
下河原で今一番人気があるスポットが「ひさご」でしよう。小さな店ですが、親子丼が人気を呼び、昼時になると行列が出来ます。私も子供のころ食べた事があるのですが、その頃から卵がとろっとした美味しい丼でした。正直言って、ここまで人気が出るとは思ってもみなかったのですが、なつかしいようなほっとする味が受けているのでしょう。昼時をはずして午後遅くに行けば、並ばすに食べる事が出来る様です。親子丼850円。
ひさごの近くに「下河原阿月」があります。ここのおすすめは「三笠」。判りやすく言えばどら焼きですが、ふっくらとして甘すぎず、上品な味です。1個140円。
阿月の前から道は坂になります。八坂の名前は八つの坂があるところから来ているとも言いますが、この坂はその一つの下河原坂。この坂を登り切ったところに、鍵善高台寺店があります。ここのくずきりはとても美味しく、散策途中のおやつには最適です。くずきり800円。
鍵善を通り過ぎると、左手に、いかにも唐突な感じで山門が現れます。前に参道がある訳でもなく、また背後に御堂がある訳でもなく、なぜこんな所に建っているのかと思いたくなるなるような門ですが、これが高台寺の山門です。かつての高台寺の寺域は非常に広大なもので、この門が入り口だったのですね。なぜか、アスファルトの道はこの門をはずした場所に付けられているため、今では門としての機能を失っており、どこか不自然な感じがするのでしょうね。
道を突き当たったところが八坂庚申堂で、左に折れれば八坂の塔、右に折れれば志乃の家です。このあたりはドラマでしょっちゅう出て来ますね。ちなみに、志乃の家の写真館はセットだったのですが、今では撤去されていることでしょうね。見に行っておけば良かった。
下河原通紹介ページ
http://www.bbweb-arena.com/users/mnaokun/洛東の道番外編.htm
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