2008.05.15

京都・洛東 建仁寺塔頭 両足院

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建仁寺の境内東側に並ぶ塔頭群の一つに両足院があります。今からおよそ650年程前に、建仁寺住職第35世龍山徳見和尚を開山として創建された寺で、阿弥陀如来立像を御本尊としてお祀りしています。

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普段は原則非公開の寺ですが、土日、休日には予約にて拝観が可能です。そして、時として特別拝観が行われる事もあり、この日(5月10日)は伊藤若冲の雪梅雄鶏図の特別公開の日に当たっていました。

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山門を潜るとまず枯山水の庭が目の前に広がります。「唐門前庭」と呼ぶそうで、白砂と松の緑の対比が見事ですね。方丈に向かうには、洒落た石の小径を歩いて行く事になります。

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方丈の前には、ここにも枯山水の庭があります。ただし白砂ではなく苔に覆われた庭で、雨に濡れた苔の色がとても美しい色合いを見せてくれていました。

中央に見えている3つの石が、釈迦三尊に見立てた三尊石です。

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今回の特別公開の目玉である伊藤若冲の雪梅雄鶏図は、書院に展示されていました。若冲にしてはごくオーソドックスな構図で、雪中梅の下で地面を啄む雄鶏が描かれています。この鶏が実に精緻に描かれている事、そして花と鳥の鶏冠と羽根を染める鮮やかな紅色が印象的な絵でした。

ただしこの絵は本物ではなく、デジタル処理が施された高精細の複製画です。実は複製画と聞いて受け付けで帰る人も見受けられましたが、良くある写真複製とは違って、本物の筆使いが見える程リアルに再現されており、それなりに見応えはありましたよ。強いて言えば、あまりに綺麗すぎるのが難点かも知れません。

冒頭の写真は池泉回遊式の書院前庭です。正面に見える二つの建物は共に茶室で、左が如庵を模した水月亭、右が6帖席の臨池亭です。この庭は、この茶室に向かう為の路地庭としての性格も持っているのだそうです。

池の畔には半夏生が植えられており、この草の葉が白くなる頃、もう一度特別公開が行われます。6月の第2、第3の週末で、この庭が最も見頃を迎える時と言っても良いのでしょう。

特別公開時の拝観料は500円、普段の予約拝観の時は1000円となっています。予約拝観の方が高いのは抹茶の接待が付いているからですね。この抹茶については、特別拝観の時でも、申し出れば味わう事は可能です。(ただし別料金)

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2008.05.14

京都・洛東 雨の散歩道~清水寺~

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雨の散歩道は、清水寺までやって来ました。

普段はあまり目立たない舞台の下のもみじの大木が、幹が濡れた事で妙に存在感を示しています。普段はこういう所までは撮らないのですが、雨の日ならではの限定ショットですね。

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この時期の清水寺は、とにかく緑一色で染まります。生命力に溢れた光景ですが、これが秋になると樹種の違いによって見事なコントラストを描くから面白い。そういう目で見れば、一面に同じ様な緑でも、葉の質感が微妙に違うのが判りますね。

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緑に包まれた奥の院です。この御堂も、規模は小さいながら本堂と同じく舞台造となっています。とても端正な御堂で、美しさという点で言うならば、むしろ本堂よりも上なのではと思ってしまいます。とにかく絵になる建物ですね。

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本堂と奥の院の間にある急坂です。この坂を下れば音羽の滝の前へと至ります。ここは紅葉の時には赤いトンネルが出来る所で、清水寺でも絶好のビューポイントの一つと言えます。緑の葉の上に浮かんでいるのが子安の塔。

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雨に煙る子安の塔です。枯淡な味わいの塔と萌え出る緑が不思議と調和していますね。この塔は、今は白木の塔に見えますが、実は良く見ると丹塗りの跡が残っているのが見て取れます。つまり、もう一つの三重塔と同じく、かつては鮮やかな丹色に彩られた塔だったのですね。

明治以前には門前にあって多くの参拝者を集めたというこの塔も、今は本来の安産祈願に訪れる人は希の様です。でも、時折泰産寺にお参りする人を見かけますから、まるっきり忘れられてしまったという訳では無い様ですね。

直接訪れる人は少なくなったとはいえ、東山の懐に抱かれた古塔としての景観は素晴らしく、清水寺には無くてはならない存在となっています。

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2008.05.13

京都・洛東 雨の散歩道~二年坂・三年坂~

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大型連休が終わった直後の土曜日は、朝からそぼ降る雨でした。こんな日は常に人混みが絶えない二年坂も、さすがに訪れる人も少なくてがらんとしています。

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でも京都らしい情緒を味わうには、こんな日が丁度良いのです。静かに落ち着いた佇まいがこの界隈の本来の真骨頂、人波に洗われる事なくゆっくり歩いてこそ生きる町並みなのです。

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三年坂まで来ても静かさは同じでした。今さらながら、古い町家の佇まいが目に止まります。

道が黒いアスファルトに変わっているのは電線の地中化工事が始まっているからで、数年後には元の石畳の道に戻る予定です。ですから、この写真は三年坂の過渡期の姿を伝えるものとして、ある意味貴重なものになると言えるのかも知れません。

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木枠で段々が作られた三年坂もまた、後になれば貴重な光景となるでしょうね。

坂の途中の明保野亭の枝垂れ桜の下で木の下闇の写真を撮っていたら、坂の上から修学旅行生達が駆け下りてきました。中学生なのでしょうね、集合時間に間に合わないのか、雨が降る中傘も差さずに元気なものです。

ただ、彼女たちは三年坂で転ぶと三年で死ぬという恐ろしい言い伝えを知らないのでしょう。でなければ、この坂を駆け下りる事など出来ないはずですから。

幸い彼女たちは無事に坂を下りて行きましたから、何事もなく済みそうです。もっとも、言い伝えを知らないのだから、たとえ転んでも何も起きないのかしらん?そのあたりは、伝説らしく謎としておくのが良いのでしょうね。


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2008.05.12

京都・洛東 雨の散歩道~祇園から円山へ~

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5月の雨の週末、祇園から清水までを歩いてきました。足下が悪いのは気になりますが、雨の散歩道はしっとりとした空気に満ちあふれていますよ。

この時期、雨が降る度に木々の緑が深くなって行くのが判ります。ここ祇園白川でも花が終わった桜がすっかり葉を茂らせ、「かにかくに」の歌碑の上を静かに覆っていました。

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誰も居ない雨の巽橋です。水を含んで重くなった桜の枝が、道の半ばまで下がっていました。この下を通る時は、舞妓さんもさぞかし難儀をする事でしょうね。

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祇園を抜けて、知恩院までやってきました。溢れる緑が三門の額縁を通すと、より一層鮮やかに見えませんか。

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その三門の内側です。滴る様な緑という表現がありますが、この景色などはまさにその言葉がぴったり来るでしょう?

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円山公園に入ってすぐにある、平野家さんのウインドウです。このノキシノブはいつも気になる存在なのですが、雨の日にはやはり絵になりますね。今と対極の季節を耐えてきたノキシノブはまだ少し冴えない色ですけれども、この雨を受けて深い緑に変わっていく事でしょうね。

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2008.05.11

京都・洛東 芦屋小雁個展-思ひ出- ~月真院~

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高台寺の塔頭・月真院において、芦屋小雁さんの絵画個展が開かれています。これは小雁さんが月真院の襖絵として「有月東山三十六峰絵図」を描かれた事を記念したもので、襖絵のほかにも蟻と遊ぶ子供の絵など小雁さんの作品が多数展示販売されています。

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今回描かれた襖絵は、月真院に縁のある伊東甲子太郎と高台寺党、それに新選組をモチーフに描かれています。

まず十二面の襖に雄大なタッチで月明かりに浮かぶ東山三十六峰の全体図を描き、要所々々に大文字、八坂神社、清水寺などの名所が配されています。そして、画面の右下には伊東甲子太郎と高台寺党の面々、左下には近藤勇を先頭に隊旗を掲げて行進する新選組の姿が洒脱なタッチで描かれています。ただ伊東、近藤、土方あたりは意識して描かれたそうですが、他の隊士達については特に誰という事は考えずに、雰囲気で描かれたとの事でした。

この襖絵はまるで映画の一シーンを見る様で、高台寺党と新選組はそれぞれ画面の中央を目指して歩いており、静かな中にも一触即発の緊迫感を孕んだ作品となっています。

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芦屋小雁さんは言わずと知れた喜劇役者で、最近では舞台版の「裸の大将放浪記」に主演されています。「ちりとてちん」では、上方落語四天王の1人「鏡漢五郞」を演じられていましたね。小雁さんは役者になる前には画家を目指しておられたそうで、とても役者業のかたわらに描かれたとは思えない、本格的な作品ばかりですよ。

会場にはご本人が詰められており、きさくに話しかけてこられます。ツーショットの写真も撮って頂き、おかげさまで良い記念となりました。

月真院は、抹茶付きで不定期公開されているとはいえ、新選組ゆかりの襖絵奉納という場は、組ファンにとってはなかなか得難い機会だと思います。高台寺党が住んでいた部屋に入れる訳ではありませんが、近くに行かれる事があったら寄らてみては如何ですか。

入場料は500円、会期は5月18日までとなっています。

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2008.05.10

京都・洛東 カキツバタ~円山公園~

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京都・円山公園のカキツバタが見頃を迎えています。

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ひょうたん池の一角に群落をなして咲いているのですが、いつの間にこれだけ見応えがある様になったのでしょうね。以前は数輪が咲く程度だったと思うのですが、ちょっとした名所と言える程に広がってきています。

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カキツバタは、どちらかと言えば地味な印象があるのですが、この花はハナショウブと見間違うほど華やかな姿をしています。カキツバタにも数は少ないながら園芸品種があり、これはその一つなのですね。

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こちらは、公園の奥にあるカキツバタ群落です。ここは以前からある群落で、咲いているのはオーソドックスなカキツバタですね。この写真は5日に撮ったものですが、今日(10日)現在ではキショウブも咲き始めています。ただ、思った程の数は咲いておらず、あまり絵にならなかったのがちょっと残念でした。

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2008.05.09

京都・洛東 一初鑑賞会2008~得浄明院~

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今年もまた、得浄明院の一初鑑賞会が行われています。

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一初とは他に先駆けて咲くアヤメの事で、初夏の訪れを告げる花として知られています。一見するとカキツバタと似ていますが、何より花にこの網目模様がある事がアヤメである印ですね。それに水辺に限らず咲くところもカキツバタとは異なります。

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今年は白の一初は花付きが今ひとつの様でした。咲いてはいるものの上がっている蕾が少なく、昨年ほどの数を期待するのは無理かも知れません。

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得浄明院と言えば信州の善光寺の別院であり、本院を模した戒壇めぐりが出来る事でも知られます。今年で3年続けてお世話になりましたが、あの闇には慣れるという事がありませんね。ただ、今年は寺の住職さんが入り口に付いていて下さり、何かと声を掛けて頂いたのが有り難かったです。初めての人は相当に不安を感じるでしょうからね、この心遣いはきっと嬉しい事でしょう。

ここを訪れたのは5月5日の事だったのですが、一初が丁度盛りを迎えていました。ですから、今頃はやや花が終わりかけている頃かも知れません。ただし、境内には沢山のジャーマンアイリスがありますから、かえって華やかになっているかも知れませんよ。

得浄明院の特別公開は5月13日(火)まで、拝観料は500円となっています。


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2008.05.08

京都・洛北 大田の沢~カキツバタ群落~

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「神山や大田の沢のカキツバタ ふかきたのみは 色に見ゆらむ」  藤原俊成

古歌に謳われた大田の沢のカキツバタ群落は、俊成の死後800年を経てもなお健在です。

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大田の沢は近くの深泥が池と共に、かつてこのあたりが湿地帯であった名残を示す池と言われます。今ではほんの小さな池にすぎないのですが、往時は今の数倍はあったと言われ、俊成が歌った頃にはさぞかし広壮な光景が広がっていた事でしょうね。

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このカキツバタは自然のものであり、昭和14年に天然記念物に指定されています。とはいえ、実際には何かと手入れはされているのでしょうね。でなければ、この限られた小さな池でいつまでも綺麗な花を咲かせ続ける事は出来ないでしょうから。

ちなみに、柵の中に入るには保存のための協力金として300円が必要となります。

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ここを訪れたのは5月5日の事でしたが、この時はまだ3分咲きで、見頃は今週末ではないかとの事でした。

大田の沢は上賀茂神社のすぐ近くにあり、社家町を経ての経路は散歩道としてもなかなか素敵ですよ。ここは是非セットで訪れて、散策を楽しんで来て下さい。

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2008.05.07

京都・洛北 上賀茂神社~賀茂競馬~

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5月の京都と言えば葵祭。上賀茂神社と下鴨神社の両社の祭礼で、15日の本祭を前に様々な前儀が行われます。その一つが上賀茂神社の賀茂競馬。古くは5月5日の節供の行事として宮中で行われていた競馬会に起源を持ち、1093年(寛治7年)に20箇所の荘園と共に上賀茂神社に移されて以来、今に伝わるという伝統ある行事です。

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葵祭は平安京以前に起源を持つという古い祭礼ですが、戦国期には神社の荘園が横領されるなどして一時途絶えてしまいます。そして江戸時代に再興されたのですが、明治維新によって天皇が東京に遷ると共に再び中止されてしまいました。その後、明治17年に京都の振興策として復活したのですが、第二次世界大戦でまたも中止の憂き目に遭い、社頭での神事だけが継承されていました。行列の復活は昭和28年からの事で、この様に葵祭は断絶と復活を繰り返してきたという歴史を持ちます。

ところがその中でこの競馬だけは途絶えることなく継承されてきたと言われ、今でも古式豊かに行われています。この行事に賭ける人々の情熱の賜物と言うより無いのでしょうけれども、実際に馬が走る所を目の当たりにすると、その理由もおぼろげながら理解出来る様な気がします。何と言っても抜群に面白いのですよ。

さすがに900年も続いてきただけに煩雑な程に仕来りが存在し、当日も本番までに陰陽道の影響を残すと言われる様々な儀式が行われる様です。これはその一つで庁屋にて陰陽のお祓いや勝栗、杯の儀を行っているところと思われます。膨大な儀式を一々執り行っていくのは大変ではあるでしょうけど、これも貴重な文化の伝承と言えるのでしょうね。

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お祓いを終えた乗尻(騎手)達は、一度境内の外に集合し、騎乗にてならの小川に架かる酒殿橋を渡ります。

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ところが見ていると、橋を渡ったところで必ず馬が一回転をするのです。最初は馬がぐずっているのかと思ったのですが、そうではなくてこれも儀式の一つだった様ですね。この後乗尻達は一の鳥居前で馬を下り、徒歩にて境内に入っていく事になります。

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乗尻と馬が所定の位置に付く前に、警護衆が馬場の下見に現れます。馬場に異常が無いかどうかを見る役目なのですが、この勤めを果たしているのは子供達でした。身体に似合わぬ笠の大きさから鍋かぶりと呼ばれているそうですが、胴巻を身にまとい、腰には太刀を、手には警護のための棒を持ち、なかなか勇ましい姿です。そして、祭礼の参加者に共通している事ですが、ショウブを身に付けていますね。

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警護衆による下見が終わると、いよいよ乗尻と馬が所定の位置に付きます。そして、準備が終わったという合図なのか、乗尻が手綱を持って手を挙げるというポーズを取っていました。これもまた、何か意味のある作法なのでしょうね。

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ここからやっと本番が始まります。競馬は左方(さかた)と右方(うかた)の二組に分かれて行われ、団体戦として勝敗を競います。赤い方が左方で舞楽の打毬楽の衣装なのだそうですね。対する黒い方が右方で、こちらも舞楽の狛桙の衣装を身に纏います。

この乗尻は賀茂の社家の一族(賀茂県主一族)だけがなれるもので、今でもその伝統は続いています。左方になるか右方になるかは1日に行われる足汰式(あしぞろしき=試し乗り)の結果によって決められるそうで、固定しているのではなく毎年変わる様ですね。


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ところが二頭の馬が馬場に入って来ても、すぐに走り出す訳ではありません。馴致と言って馬場に慣れさせるために、手綱を引いて何度もいったり来たりを繰り返すのです。そして、どうやらこの馴致のやり方にも、伝統的な作法と意味がある様ですね。そして面白いもので、馴致が終わる頃には馬が興奮し始め、御するのも難しい程になってきます。その興奮を捉えて、一気に走り出すのですね。

現在は12人6組によって勝敗が競われますが、実は最初の一番だけは左方の勝利と決められています。これには理由があって、左方が勝った年は五穀豊穣が約束されると言われており、左方が有利になるように調整されているですね。

しかしだからといって右方はわざと負けるのかというとそうではなく、二番以降の勝負は真剣そのもので、乗尻は相手に負けたくないものですから全力で勝ちに行くのだそうです。そうした渾身の力で戦った結果でなければ神意とは言えず、競馬もただの行事として形骸化していた事でしょう。

この乗尻が鞭を上げているのにもちゃんと意味があって、この競馬を神に捧げるへく、神様の方向を指しているのですね。なお、この時神様は鉾に憑って、馬場のすぐ横に来て居られます。

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賀茂競馬を見るのは、実は今回が初めてです。勝手が判らず、とにかく空いている場所に座ったのですが、そこはスタート地点のすぐ近くでした。馬が疾駆しているところを見たかったのでこれはしくじったかと思ったのですが、ところがそうでもなかったのです。スタートの駆け引きが結構面白いのですね。

馬は2頭で競争する訳ですが、先の競争で負けた組が前に立ち、勝った組は一馬身開けて後ろに並びます。そして乗尻同士が向き合い、冠が合ったところで立会人から「合うた-!」とかけ声が掛かるとスタートです。

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このタイミングが微妙で、馬と乗り手の息が合っているか、そして引き手が手綱を放すタイミングによっても、スタートダッシュが決まるかどうかが分かれる様です。

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この場合、右方の馬の方が先に前を向いており有利に見えたのですが、意気込みが強いのに手綱が離れないためか乗尻は馬を懸命に押さえている様です。

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そして、手綱が放されたのですが、今まで押さえられてきた右方の馬は足蹴をするばかりで、なかなか前に進めません。対する左方は手綱が放れた瞬間に馬の向きを変え、一気に走り出します。

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そして、多分意図的にでしょうね、左方の乗尻は右方の馬の前を横切る様にして走ります。これに驚いた右方の馬は一瞬竿立ちになり、ますますスタートが遅れてしまいました。

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これって反則かと言うとそうではなく、古来から許されてきた駆け引きなのだそうです。中にはもっと露骨な妨害もあって、相手の袖を持って引っ張るなんていう事もあった様ですね。ただ何でもありという訳ではなく、許される範囲があるそうですが、そのあたりも教えて貰えると、もっと興味深く見る事が出来そうですね。

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勝負は馬場の北にある楓の木(勝負の楓)を過ぎた時に決まり、基本的には最初の一馬身差が縮まっていれば後ろの馬の勝ち、差を保っていれば前の馬の勝ちとなるのですが、勝敗の判定はそれだけではなく、乗尻の技術や馬の速度、スタート時の様子など、総合的に判断して決められるのだそうです。

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勝負が付いた後も面白い作法があって、乗尻は念人の所に勝敗を聞きに訪れ、勝った場合は禄という白い布を貰って、鞭に巻き付けて高く掲げます。そして、負けていた場合は「負け~。」という情けない声を聞かされ、すごすごと帰って行く事になります。

今年は左方の4勝1敗1分けだったそうで、目出度く五穀豊穣が約束されました。競馬の儀式はこの後も続いていたのですが、時間が無くて最後までは見届ける事が出来ませんでした。それに私の席からは判定の様子なども見る事が出来なかったのが残念です。やはり、一度だけでは全体像を把握するのは難しいですね。これはやはり来年も来るより無いでしょう。今度はゴール近くに構えて、勝敗の決定の瞬間を見てみたいと思ってます。それに出来れば前後の神事の様子を見られたら良いですね。

なお、最前列に座った場合は、傘を差すのは禁止されています。馬が驚いて暴走しかねないためですが、この日は途中で雨が降りかけたので大いに困りました。ですから、雨が予想される場合には雨合羽を、そして好天の場合は日傘ではなく大きめの帽子を用意される事をお勧めします。


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2008.05.06

比叡山・延暦寺~新緑の頃~

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1年ぶりに訪れた比叡山・延暦寺は、全山が新緑に包まれていました。

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東塔の入り口から入ってまず目に付くのが大講堂前の鐘楼です。確か以前は平和の鐘と言っていたはずなのですが、今は開運の鐘と表記されていますね。除夜の鐘として行く年来る年でも良く登場していますが、100円で誰でも撞く事が出来るために人気があり、順番待ちの列が出来ていました。

人によって撞き方に個性があり、とにかく大音響を狙う人、遠慮がちに小さく鳴らす人など様々で、聞いているだけでも面白いですね。我が家の息子達は綺麗な音を出すんだと息込んでましたが、うーん、単に音が小さいだけだった様な。聞いていて惚れ惚れするような澄んだ音を出すのは、なかなか難しい様です。

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延暦寺の境内では、赤いもみじを良く見かけます。この鐘楼の周囲にも植えられており、さながら秋の紅葉であるかの様に丹塗りの色と良く調和していました。

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こちらは根本中堂の前にある伝教大師童形像で、鮮やかな新緑と紅のもみじとで彩られていました。この時期ならではの、鮮烈な光景ですね。

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平地では終わってしまった八重桜が、ここでは丁度満開を迎えていました。これは東塔の駐車場の様子で、広大な駐車場を取り囲むように咲いた桜は、なかなかの見物ですよ。

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そして、これは大講堂の東側で咲いていた普賢象桜です。千本ゑんま堂では人気を集めているこの桜ですが、ここでは誰1人注目する人はなく、ひっそりと咲いていました。多分、ここに咲いていると知っている人がほとんど居ないからなのでしょうね。やはり銘花と言われるだけあって、とても美しい桜でした。

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京都には社寺が沢山ありますが、その中でも延暦寺は別格という気がします。昔から霊場とされていますが、やはり境内には特別な空気が満ちています。森林浴効果もあいまって、疲れた心身をリフレッシュさせるには持ってこいの場所ですよ。

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